海外留学を計画する上で、早い段階で考えておきたいのが留学にかかる費用です。
学校の授業料以外にどのような費用がかかるのかを大まかに把握しておくと、直前になって慌てることがないからです。
今回はイギリスの大学へ留学する際の費用について詳しくご紹介します。
授業料 (tuition fees)
イギリスの国立大学ではイギリス国籍の学生・EU圏の学生と、それ以外の国の学生で授業料 (tuition fees) が違います。
それでは、眞子さまが留学されていたレスター大学の博物館学修士課程を例に見てみましょう。
UK and EU students: 7,500ポンド (1,125,000円)
International students: 16,595ポンド (2,489,250円)
(参照:レスター大学HP) 1ポンド=約150円(10/24/2017)
この値段は2017年9月入学生用の額面であり、授業料は年々上がっています。
学部によって、もっと安かったり高かったりしますが、イギリスの国立大学はだいたいこれくらいの授業料です。
(ケンブリッジ大学、オックスフォード大学は例外です)
日本の国立大学が年間で80万4,000円という費用であることを考えると、イギリスの方が高いことが分かりますね。
授業料以外の学費
●テキスト代
授業で使われるテキストは授業料に含まれていないので、別途購入する必要があります。
図書館で借りるか、amazonやeBay、gumtreeなどで古本を探して購入すればだいぶ抑えられます。
また、電子書籍化しているものが図書館に入っていれば、制限ページ数内でpdfをダウンロードすることもできます。
●プリントアウト代
大学の各所に学生用のPCとプリンターが整備されていますが、プリントアウトは有料です。
白黒片面印刷1ページで5ペンスくらいですが、毎日のように論文をダウンロードして読まなければいけないので、1年間で結構な印刷代になります。
そのため自前で安いプリンターを購入する学生もいますが、最近では、ペーパーレスを促進する動きもあり、PCやタブレット上で文献を読めば、印刷する必要がなくなるため、かなりの節約ができます。
IELTS for UKVI (英国ビザ申請のためのIELTS) 受験料
日本で受けられるIELTSには英検主催のものと、British Council(ブリティッシュ・カウンシル)主催のものがあります。
ここで注意したいのはイギリス政府がビザ申請用として認めているのは、British Councilで提供されているIELTS for UKVIだということです。
英検主催のIELTS受験料が25,380円に対し、British Council主催のIELTS for UKVIであれば39,095円(2017年10月現在)もかかります。
もし英語力にまだ自信がない場合や、自分がどれくらいのスコアを取れるのかを知りたいだけであれば、まずは英検主催のIELTSを受験して、十分なスコアが取れる英語力がついて、留学の手続きを2年以内に始める状態(スコアは有効期限が2年)になったときにBritish Council主催のIELTS for UKVIを受験するといいでしょう。
(参照:英検HP、ブリティッシュ・カウンシルHP)
Tier4 Visa(6か月以上の留学のための学生ビザ)申請費用
6か月以上の留学にはTier4 Visaと呼ばれる学生ビザの申請が必要です。
また、ビザの申請の際に必ずイギリスの健康保険であるNHS (National Health Service)に加入する必要があり、この費用は IHS (Immigration Health Surcharge)と呼ばれています。
ビザ申請費(visa application fees):約52,500円
イギリスの健康保険(NHS)の保険料:150ポンド/年(約22,500円)
※これは2017年10月現在の額です。(参照:Gov.UK Visas and immigration )
ビザを自分で申請する場合は上の額になりますが、代理店を利用して申請する場合は別途手数料を取られることもあります。
旅費(飛行機・宿泊費)
早めに予約した方が飛行機のチケットや宿泊費は安いものが見つかりますが、ビザが取得できてからでないと、いつからイギリスに入国できるか正確に分からないので注意が必要です。
海外留学保険
6か月以上の留学でTier4 Visaを申請するのであれば、同時にNHSにも強制加入ですからイギリスでは無料で診察を受けられます。
(歯科は有料で、処方薬も有料です)
ですが、NHSは診察を受けるのに事前の予約が必要なので、いつでも診察してもらえるプライベートの病院を受診する可能性があるのであれば海外留学保険に加入しておく方がいいでしょう。
住居費
大学の寮(university accommodation)に滞在する場合ですが、レスター大学の寮を例に挙げてみましょう。
レスターはロンドンのような大都市ではないので、イギリスの中でも平均的な寮費となっています。
食事付き(Catered):週124.60 ポンド~ 192.50 ポンド(18,690円~28,875円)
自炊(Self-catered): 週85.40 ポンド~ 174.30ポンド(12,810円~26,145円)
学部留学であれば食事付きの部屋に入れますが、大学院留学の場合は食事のついていない部屋を選択することになります。
無料Wi-Fi、光熱費込みです。
(参照:レスター大学HP)
大学の寮以外(Private accommodation)でフラット(イギリス英語ではアパートのことをflatと呼びます)を探す、またはハウスシェアをすることもできます。
シェアすることで家賃は安くなるかもしれませんが、光熱費やインターネット使用料など別途必要かもしれないので契約の際に確認が必要です。
寒いのが苦手な人は冬場の暖房を節約しなくていい大学寮の方が快適かもしれません。
生活費
●コインランドリー(laundrette)代
大学の寮で暮らす場合、洗濯はコインランドリー(laundrette)を使うことになります。
洗濯と乾燥合わせて一回5ポンドくらいです。
●食費
パン、野菜・果物、肉類は比較的安くスーパーで手に入ります。
和食を作るための調味料はアジア系のスーパーでも手に入り、ロンドンにあるJapan Centreからインターネット購入することもできますが、割高です。
●携帯電話代
現地の格安simカードを購入して使うことをお勧めします
(大手携帯電話会社は契約期間のしばりがありますが、格安simであればいつでも解約できます)。
イギリスではpay as you goと呼ばれる使用した分の通話料やデータ使用料を払うシステムか、通話時間やデータ使用量が決まっているプランかを選ぶことができます。
例えばイギリスでよく使用されているgiffgaffという格安simであれば、月に5ポンドのプランでイギリス国内通話150分、データ通信100MB、テキストメッセージ500通というのが一番安いプランで、その次が7.5ポンドのプランでイギリス国内通話250分、データ通信1GB、テキストメッセージ無制限というものがあります。
プランの変更はインターネット上でいつでもできます。
またgiffgaffのsimを使っている人同士の通話は無料です。
(参照:giffgaff HP)
その他
●日本の国民年金や税金
意外と見過ごされがちですが、退職して留学する場合など税金が前年の収入に基づいて徴収されるので、どれくらいになるのか確認しておきましょう。
●日本からの荷物郵送代
思いの他、高くつくので、どうしても必要なもの以外は現地で安く調達した方がいいかもしれません。
帰国の際にも荷物が多いと日本に郵送することになるので、できるだけ少なく抑えましょう。
●生活をスタートするにあたって必要なものの現地調達
食器、調理器具、衣類などはOxfamなどのチャリティーショップで中古品が安く手に入ります。
(イギリスではチャリティーショップが多く存在し、留学生活が終わる際に不要になった衣類などを寄付することもできます。)
また、大手スーパーで大きめの店舗のところであれば、1年くらいの使用であれば十分な品質の調理器具や食器が安く揃えられます。
(参照:Oxfam HP)
イギリス留学の滞在方法を工夫して節約しよう!
このように、イギリス留学は思っている以上に費用がかかります。
留学自体が人生の中でも非常に大きな買い物ですので、費用調達を含め、かなり前から計画的に準備をしておくことをお勧めします。
その上で、もし金銭的に留学が難しいという人は、奨学金についても調べて見ると良いでしょう。
その前に、まず気にしておいて欲しいのが現地での生活費です。
この部分は、個人の努力によって節約できるからです。
留学時には大きく分けて、ホームステイ・寮・シェアハウス・一人暮らしの4つの選択肢があります。
そのため、それぞれのメリット・デメリットをよく知った上で、一番自分に合った割安な滞在方法を選択すると良いでしょう。
ホームステイ
一般家庭に滞在するホームステイは、食事付きで、条件によっては部屋の掃除や洗濯などを任せられる場合もあり、勉強に観光に思いっきり集中することができる滞在方法です。また必然的に英語でホストファミリーとコミュニケーションを取らなければならないため、語学のトレーニングになります。
ただし、費用的には他の滞在方法より高めで長期留学には向いていないかもしれません。
また街中にある学校から離れた土地にある家も多く、通学には1時間ほどかかることも予想しておいた方が良いでしょう。
ホストファミリーによって、家事を手伝う、門限があるなどのルールがあるので最初にしっかり確認してトラブルにならないように気を付けましょう。
寮
学校指定の学生寮は、多国籍の学生が集まり非常にグローバルな環境です。
英語でコミュニケーションを取らなければならず語学もトレーニングでき、各々の文化の違いに触れられる機会を得られます。
また学校にも近いため交通費や通学時間を省くことができます。
セキュリティー面も比較的整っていることが多いです。
食事は付いているところと、付いていないところがあるので、事前に確認しておきましょう。
キッチン、トイレ、シャワーなどの水回りは共同なことが多く、気を使う必要があります。
部屋も2人、3人、4人部屋などの同室メンバーがいる場合が多いですが、共同部屋の方が費用は安くなります。
プライベートはあまりないのでリラックスはできないかもしれません。
シェアハウス(シェアルームなど)
気の合う友人が見付かったら部屋をシェアするという方法もあります。
また留学前から、現地のフリーペーパーを見ると、シェアメイト募集などがありますので、先にコンタクトして準備しておくのも良いでしょう
シェアハウスは、自分で住みたい場所を探し、同居人も選べるため自分に合った暮らし方を実現しやすい方法です。
その中でも、一番費用が安く抑えられるのはルームシェアです。
1つの部屋を他人とシェアするためプライベートな空間はメイトが外出している時しかありません。
よっぽど気を許せる友人やカップルではなければ難しいかもしれません。
また、契約などの手続きもすべて自分たちでしなければならないというハードルもあります。
セキュリティー面も自分たちで管理する必要があります。
つまり、自由には責任が伴ってくるということですね。
一人暮らし
一番ハードルが高く、滞在費が高くなるのは一人暮らしです。
特にロンドンは家賃が高く、国内に保証人がいなければ契約不可という場合も多々あります。
デポジットの返金については事前に確認しましょう。
家賃の支払いが1週間なのか、1ヶ月なのかもハッキリさせておくべきです。
また、家具をそろえる必要も出てきますので、プラスで費用は掛かります。
しかし、利点は何と言っても、慣れない海外暮らしでも、自分一人の空間でリラックスできることです。
そして、勉強にも集中できますし、時間を自由に使えます。
ただ、一人暮らしを渡航前からいきなり選択するのはかなりハードルが高くリスクもあるので、できれば少し慣れてから考える方が良いでしょう。
まとめ
今回は、イギリス留学にかかる費用と滞在方法について紹介しました。
費用を少しでも安くする、もしくは費用をかけてでも自分の居心地の良い空間を作りたいという人は自分のあう滞在方法を十分に検討してくださいね。
イギリスでの主な滞在方法は、上記のようにホームステイ・寮・シェアハウス・一人暮らしです。
ぞれぞれメリット・デメリットがありますので、よく検討し、予算の許す中で選択してください。