長期で海外に旅行に行ったり留学する場合、「予防接種」を受けるべきということは誰もが耳にしたことがあると思います。
絶対に予防接種を受けるべきという話も聞きますし、受けたことがないという意見もあり、本当のところはよくわからないですよね。
日本では感染症になるリスクが低く、予防接種といえば冬に流行するインフルエンザぐらいなので、どこで何を受ければいいのかピンとこない方が多いのではないでしょうか?
しかし、海外にそこまで慣れていない方であれば「変な病気にかからないかな?」と心配になりますよね。
帰国後の二次感染を防ぐためにも、予防接種の知識は持っておくべきでしょう。
今回は、海外旅行や留学の際に受けるべき予防接種と検討すべきことをご説明します。
目次
◎留学や海外旅行の予防接種は義務なのか?
◎受けるべき予防接種を国別に説明
◎海外渡航予防接種はどこで受けられるの?
◎まとめ
留学や海外旅行の予防接種は義務なのか?
留学・海外旅行の際の予防接種が義務であるケースはそんなに多くありません。
アフリカや南米の熱帯地域のいくつかの国では黄熱の予防接種証明書を提示する必要があり、入国後にも求められる場合がありますが、それらを除くと予防接種はあくまで自分の身を守るため、または帰国後の二次感染を防ぐための自己判断で受けるものとなります。
では、どのような場合に予防接種を受けるべきなのでしょうか?
基本的に予防接種を受けるかどうかは、渡航先、期間、目的から判断することになります。
渡航先でいうと、欧米諸国は極端に感染リスクの高い場所は多くありません。
アジアやアフリカ、南米などの途上国の場合は、衛生状態に懸念がある場合も多く、感染症にかかるリスクは日本と比べて何倍も高いと考えた方がいいでしょう。
厚生労働省検疫所のサイトFORTHでは、渡航先ごとに検討すべき予防接種の一覧が公開されています。
海外渡航のためのワクチン
滞在期間でいえば、これも場所や何をするかにも左右されますが、2週間以上海外に滞在する場合は予防接種を検討すべきでしょう。
目的でいえば、主に都市部で過ごす場合より、ジャングルに冒険に行くようなアドベンチャースタイルの旅の方がリスクが高いのは言うまでもないでしょう。
ただし、都市部で感染症が流行することも多く、狂犬病の恐れがある野良犬は都市部にも多いことから、一概に都市部はリスクが低いともいえません。
いずれにしても、特殊な地域に行かない場合であれば予防接種は義務ではないですが、自分の渡航スタイルに合わせて総合的に検討する必要はありますね。
代表的な海外渡航の予防接種
[A型肝炎]
地域を選ばず、途上国に渡航する際には受けておくべき予防接種の一つです。
水や食べ物を介してウィルスが口に入ることで感染します。
急な発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気や嘔吐を引き起こし、数日後には黄疸が出て、1ヶ月近くの入院が必要になる場合があります。
[狂犬病]
イヌやネコ、その他の哺乳動物に噛まれたり、傷口を舐められることで感染します。
日本では感染しなくなった病気ですが、アジアやアフリカの途上国では今も流行しており、発病するとケイレンや意識障害を引き起こし、100%死亡するという恐ろしい病気です。
[破傷風]
傷口からウィルスが入ることで感染する病気で、手足が痺れ、治療が遅れると死に至ります。
世界中にウィルスがある病気なので、地域を選ばず予防接種を受けておくべきです。
[B型肝炎]
人の血液中に寄生しているウィルスで、性行為で感染することが多いです。
体のだるさ、食欲不振や吐き気などの症状があり、次第に黄疸が現れます。
中国、東南アジア、南アフリカ諸国では保有率が高いウィルスです。
[日本脳炎]
以前は日本でも感染が多かった病気ですが、現在国内ではほぼなくなりました。
しかし、アジアでは今も広く流行しており、毎年3.5〜5万人の患者が発生していると言われています。
蚊を媒介して感染し、高熱・頭痛・嘔気・嘔吐を引き起こし、意識障害や麻痺、死亡に至る場合もあります。
[腸チフス]
感染者の便や尿に汚染された水や食べ物から感染します。
発熱すると頭痛や発疹などを引き起こし、腸からの出血や腸に穴が開く場合もあります。
インド・パキスタン・バングラデシュなど、南アジアを中心に症例の多い感染症です。
[黄熱]
蚊に刺されることで感染する感染症です。
初業すると、発熱・寒気・頭痛・筋肉痛・吐き気などの症状を引き起こし、免疫を持たない旅行者の場合、致死率は60%近くまで上がります。
南米やアフリカでの感染例が多く、黄熱の予防接種証明書(イエローカード)がないと入国できない国もあります。
海外渡航予防接種はどこで受けられるの?
では、海外渡航の予防接種を受けたい場合はどこで受ければいいのでしょうか?
様々な医療機関で実施されているので、行きつけの病院に相談してみるといいでしょう。
最近は海外渡航予防接種を専門に行なっているような医療機関も増えており、気軽に受けることができるので、インターネットを利用して調べてみるのもいいでしょう。
厚生労働省検疫所のサイトFORTHでは、予防接種を受けられる医療機関を検索することができます。
予防接種実施機関
また、予防接種は数回に分けて受ける必要がある場合も多いため、余裕を持って医療機関に相談することをおすすめします。
まとめ
結局のところ、海外渡航予防接種を受けるべきかどうかは、ご自身の渡航先や期間、目的によって自己判断するしかないのですが、かなりのリスクがあることがお判りいただけたのではないでしょうか?
安易に考えず、しっかりと検討して、健康的な留学・旅行を楽しんでください。
また、予防接種を受ければ完全に感染リスクがなくなるかというと、そうとは言い切れません。
他の病気や怪我を防ぐためにも、危険な行動は避けて海外での生活を過ごすことを心がけましょう。