「海外就職」という言葉を聞いて思い浮かべるイメージは人それぞれかもしれません。
「英語がペラペラな人だけができるんでしょ」とすでにあきらめている人もいれば、「現地へ行けば意外と簡単にできるかも」と楽観的に考えている人もいるのではないでしょうか。
今回は海外就職を本気で狙うための方法についてお伝えします。
まずは、海外就職の基本、「ビザ」について知っておこう!
海外就職で大きな壁になってくるのが「ビザ」です。
ビザとはその国に滞在する目的によって国が発給するものです。
例えばあなたを雇用したい人がいたとすれば、日本ではそれだけで雇用関係が成立するのですが、海外では雇用主だけでなく国(移民局)も認めないと働くことはできません。
海外で働くためのビザは、一般的に就労ビザやビジネスビザと言われるのですが、最近は世界的にビザがおりづらくなってきています。
発端はトランプ政権発足と言われ、アメリカはもとより、トランプ大統領の移民排除政策に影響を受けた先進国でもビザ取得は厳しくなってきています。
その時の世界情勢によりビザ取得の難易度は変わってきますので、海外で働くのはその人の能力以上に運や時期が重要になってきます。
就労ビザが厳しい国、とりやすい国は?
それぞれ、ビザ申請者の状況にもよりますので一概には言えませんが、就労ビザ取得に厳しいと言われるのが、アメリカ・オーストラリア・イギリスなどです。
中程度の難易度であるのが、ニュージーランド・カナダ・アイルランド・マルタ・ドイツなど。
比較的とりやすいと言われているのが、マレーシア・タイ・ベトナムなどのアジア圏です。
同じアジア圏でも韓国やシンガポールは条件が厳しくなります。
学歴で言えば、ほぼどの国でも大学卒業以上でなければ就労ビザ申請が不可もしくは不利になります。
ちなみにシンガポールは6ヶ月のワーキングホリデーですら世界トップ200以内の大学在籍もしくは卒業者のみと定められています。
日本ばかりが学歴主義と思われがちですが、学歴重視のスタイルは世界スタンダードになっていることも覚えておくと良いでしょう。
海外就職のための3つの方法
①海外駐在
日本で就職して、海外勤務を目指すという方法です。
良い点としては日本で実務経験を積み、しっかりとその会社の知識やスキルを身につけた上で海外勤務ができるというところです。
給与も日本基準であることに加え、海外赴任手当がつく場合も多いため、金銭的にはかなり余裕をもって生活できます。
デメリットとしては実現までに時間がかかること、そして社内で実績を残す必要があるということです。
長期的な視野で見た場合は、お給料をもらいながら十分な準備期間をとる事ができるので理想的とも言えますが、その分狭き門であるということは認識しておきましょう。
海外駐在がしやすい主な業種としては工場・品質管理、金融、コンサル、商社、貿易などです。
主に外資系が多いのですが、就職先を探す際には海外駐在のチャンスがあるかどうか、必ず確認してから選ばれる方が良いでしょう。
また、トヨタなどの大企業であれば社内留学制度などを採用している企業もあります。
希望する会社にキャリアパスとして、その様な制度があるかどうかも下調べしておくと良いでしょう。
②現地採用
海外駐在に比べるとハードルは下がりますが、前述した通り昨今は就労ビザがおりにくくなっていますので、以前より難しくなりました。
それでも運が良ければ高い英語力がなくても海外就職できるケースもあり、チャンスがないわけではありません。
ワーキングホリデーからスタートして、現地で気に入られて就職したという人は今でも多いようです。
現地で就労ビザがとりやすい職種としては、飲食(日本食料理屋、寿司屋など)、ツアーガイド、テレアポ(日本語)などで、資格や経験が必要なものでは理容師・美容師・日本語教師・保育士などです。
③海外就職エージェントを利用する
ネットで検索すると、海外就職をサポートしてくれる様々なエージェントがあります。
内容を見ると簡単に就職できそうな気持ちになりますが、実際はそれほど簡単なものではありません。
登録したら内容をしっかり確認する様にしてください。
また、ビザ申請費用や多額のサポート費用を支払った挙句に就職が決まらなかったという話も珍しくはありません。
万が一就職が決まらなかった場合、支払った金額はどうなるのかなどの条件面を確認しておかないと後悔することになるかもしれませんので、しっかりと確認する様にしてください。
海外で仕事をしたいと考えていて、何が必要かを調べたことのある人はCVという単語を目にしたことがあるのではないでしょうか。
方法を決めたら、いよいよ面接!
海外での働き方を決めたら、いよいよ、お目当ての企業を探し、面接をしなければなりません。
その時に必要となってくるのがCVです。
CV(curriculum vitaeの略)とは日本語で言う履歴書にあたるイギリス英語で、アメリカではresumeと呼んでいます。
基本的には、アメリカ以外の国ではCVと呼んでいます。
日本の履歴書はコンビニなどで専用の用紙が売られていたり、テンプレートがあったりと記入する内容は決まっています。
それに対してCVは自分で作るものなので、絶対これでないといけないという規定がありません。
そのため、初めてCVを書く際には何を書けばいいのか、どのように書けばいいのかとても迷うと思います。
そこで、CVにどのような内容を記載すべきか、どのような書き方をよくするのかについてお伝えします。
CVに記載する項目は?
日本のように、決まったフォーマットはありませんが、以下の項目はCVには欠かせません。
・氏名
・連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)
・Personal statement(自分にできること、達成したいことなどを短くまとめた文)
・Education(学歴)
・Employment history(職歴)
・Key skills(重要となるスキル)
・Qualifications(資格)
・References(身元照会人)
どのような順番でこれらの項目について書いていくのかについては、応募先の採用者の目に留まりやすい順、最もアピールできる順で書きます。
そのため、就職のためのCVは、受けるポジションに最も関係のある内容を先に記載すべきです。
分量としてはすべてがA4用紙に1~2ページ以内に収まるようにしましょう。
具体的な内容・書き方
氏名、連絡先は迷うことはないと思いますが、それ以外はどのように書くのか、慣れていないとなかなか難しいものです。
<Personal statement>
ここは文章で書き、自分の性格や持っているスキル、資格などがどのようにその仕事で生かせるかについて簡潔に書きます。
また、その仕事において成し遂げたいことなどについても簡潔に書きます。
例えば・・・
I am an excellent team player (私は共同での仕事が大変得意です)
I am highly competent in… (私は・・・に優れています)
I have experience in …(・・・の経験があります)
I have a range of … (私にはさまざまな・・・があります)
I am seeking … (・・・をしたいと思っています)
このような表現を使いながら、その職場に自分がいかに利益をもたらすことができるのかについて
効果的かつ簡潔にまとめて書きます。
<Education>
入学・卒業年、大学名、学部・学科、卒業の際の成績、主な専攻科目などを簡潔にまとめます。
一番最近のことから(上から)書きます。
例えば・・・
Education
2014- 2018 University of …, BA Environmental Management (2:1)
(2014年~2018年 ・・・大学、学士 環境マネージメント、成績)
Modules: Sustainable environments, Applied Environmental Science…
(モジュール:持続可能な環境、応用環境科学・・・)
卒業した学校が応募先の国とは違う場合は、どこの国の学校であるかも明記するとよいです。
また、大学の成績(GPA)を記載しておくのも良いですね。
<Employment history>
これも学歴と同様に一番最近のものから記載し、書き方の例としては・・・
Employment history
May 2016 – October 2018. Marketing Assistant, ABC Corporation, Tokyo, Japan
(2016年5月~2018年10月。マーケティングアシスタント、ABCコーポレーション、東京、日本)
このように期間、職種、会社名、所在地などの情報を簡潔にまとめます。
これに続けて・・・
– Developed new strategy for…
(・・・のための新たな戦略を開発した)
というように、具体的にこの職場でどのようなことを成し遂げたのかを簡潔に箇条書きにまとめましょう。
<Key skills>
応募先にアピールできるスキルを中心に簡潔に箇条書きにまとめます。
例えば・・・
Digital skills
(デジタルスキル)
– Experience of using various types of software such as …
(・・・などさまざまなソフトウェアを使った経験がある)
– Highly competent in online communications for …
(・・・のためのインターネットを利用したコミュニケーションに非常に長けている)
この他、仕事や研究内容に関連したスキル、コミュニケーションスキルなど、役立つスキルを持っていることを簡潔に伝えます。
<Qualifications>
応募先の求めている資格を持っている場合は、それが目立つように先に書きます。
資格を持っていることが応募条件となっている場合などは、CVの最初の方に記載するとよいです。
<References>
照会人(referee)については応募条件の中に具体的に照会人が必要か、どのような照会人が必要なのかが指定されていることがあります。
例えば、自分の職務上の資質について詳しく知っている人を何名のように指定されます。
このような場合は、前の職場の上司などに照会人となってもらうことが多く、家族は不可であることが多いです。
また照会人の名前、連絡先(勤め先などの住所・メールアドレス)のみを記載する場合もあれば、照会人からの推薦状を添付することを条件とされることもあります。
あるいは、照会人が必要であるということが応募条件に記載されていないこともあります。
そのような際は・・・
References
Available on request.
このように記載し、「要求があればいつでも照会人の連絡先を提出できますよ」とお知らせしておきます。
効果的なCVを書くためには
前述したように、CVは日本の履歴書と違い、応募先の求めている職歴、スキル、人物像などに合わせて記載する内容や書き方を変える必要があります。
上記に挙げた項目は典型的なCVの例なので、この他にも、受賞歴が重要な職種などであれば、Awards(受賞歴)の項目を足すなど、必要に応じて記載項目を変えるとよいでしょう。
原則、A4用紙1~2ページに収めなければなりません。
そのため、それほど多くの情報は書けませんが、担当者の目に留まる、採用したいと思われるCVを書くためには、応募先やその競合についてのリサーチが大切です。
まずは、是非頑張って、魅力的なCVを完成させましょう。
海外就職に英語力は必要?
海外就職は簡単にできるものではありませんが、アンテナを張り行動すれば必ずチャンスが訪れます。
なかには「英語力不問」という内容もありますが、例えそういった条件であったとしても、海外生活をする上で英語が話せるのと話せないでは、天と地ほど楽しみ方が違ってきます。
昨今はAIのや翻訳の技術も発展し、スマホなどの端末があれば英語は困らないだろうと思われている方もいますが、言葉は生き物であり、そして何よりも、相手の口から発せられるトーンや表情から心が通じあうことがほとんどです。
そのため、海外就職を実現させるためには、その行動力と継続して英語力を上げていくこと(準備)が大切です。
英語は一朝一夕で身につくものではありませんので、日々の生活の隙間時間をうまく利用してコツコツと学習していきましょう。